〜『魚』故事ことわざ集〜

  

みなさん初めまして、こんにちは。
みなさんが普段何気なく使っているコトワザ(魚関係)の由来について、ワタクシ池住 コイが詳しく解説していきましょう。

魚種別のことわざはこちらです。

 

あ行

秋鯖嫁に食わすな
 
旨い秋サバを憎い嫁に食べさせたくない、という姑の意地悪説。
 サバは鮮度低下が早く、中毒を起こしやすい事から、可愛い嫁の身を案ずる姑の親心説がある。
アンコウの待ち食い
 
アンコウは、暗い深い海の底にじっとしていて、背ビレをゆらりゆらりとなびかせて魚たちを誘惑し、近づいて来たらその大きな口でパクリとやる。だから、自らはデーンと座っていて、目の前に並べられたものは、片端から平らげるようなのを「アンコウの待ち食い」という。「アッ、私みたい」とおっしゃる方、今に食べ過ぎてブクブク、アンコウのごとくになるやもしれませんゾっ!くれぐれも御用心を。

イワシの頭も信心から
 
エセ宗教を信じる人に対して皮肉たっぷりな警告、ではなく「白紙も信心次第」と言うこと。また、「鰯の頭」はつまらないものの筆頭として、よく引き合いに出されるので、信仰心が不思議な力を持つことにいう。
内ハマグリの外シジミ
 内弁慶の意味と同様、家ではハマグリのように大きな顔をして威張っているが、外ではシジミのようにおとなしい人を示す。

 

 

独活(ウド)と鰊(ニシン)
 
ウドの酢味噌和えにニシンを添えると、一層美味であることから転じて、夫婦仲の良いことの例え。

ウツボとタコ
 
「犬猿の仲」。生来の敵同士。会えば必ず戦う。タコの足が切れていたり、数が足りないのは、大抵の場合ウツボと戦って噛み切られた負け跡。よく、タコが自分の足を食った後と言われるが共食いはともかく、自分食いは消化しないという。
沖のハマチ
 まったくあてにならないこと

か行

腐っても鯛
 日本人が鯛に捧げる敬意の深さには並々ならぬものがあり、「目出たい」に通ずる、というゴロ合わせ的要素も手伝ってか、ハレの要素を徹底的に身にまとった、まさに魚中の王。
さて、「腐っても鯛」とは、本来すぐれた価値を持つ者(鯛のような人)は、たとえ条件が悪くなろうと(腐っても)、やはりそれなりの価値があるという意味で、権威へのこの手の妄信と追従は、きわめて日本的な発想だ。

貝を以って海を測る
 小さな貝殻で、海水の量を測ることはできない。
 このことから、見聞が狭く、知識の浅いものが大きな問題を論議することに例えられる。
ゴマメの歯ぎしり
 弱い者がいくら怒ってもどうにもならないこと。

さ行

さばをよむ
 これには3つの説があると言われる。
まず、さばよみとは、「魚市(イサバ)読み」の上の部分が略されたもので、さばとは関係ないという説。
次が、さばは腐りやすい魚なので、急いで数えて売りさばく必要があるから、その時に数をごまかす事が多かったという説。
3つ目が、刺しさば(さばを背開きにして塩漬けにしたもの)は二枚重ねたものを一連として数える習慣があったので、二つずつ数えることを「さばよみ」というようになったというものである。
どの説が有力なのかは分かりかねるが、どの説にしても合点がゆく。
なお、さばが腐りやすいというのは事実で、俗に「さばの生き腐れ」などと言われている。

俎上(そじょう)の鯉
 
鯉を俎板の上にのせると、まるで「いざ、切るなら切れ」と言わんばかりに、じいっと動かなくなるそうで、その様が、武士道を尊ぶ日本男子に受けて、いざという時に胆の座った行動をとる美徳のお手本の如くに言われるようになった。


とどのつまり
「海の幸、山の幸に恵まれ」の言葉もある通り、魚から多大な恩恵を受けて来ただけあって、日本人の魚に対する関心と知識の深さは世界一だと言われている。
その例が、成長につれて名前を使い分ける出世魚だろう。

・メジ→マグロ→シビ
・ハマチ→ブリ
・オボコ→イナ→ボラ→
トド
などがある。もののゆき詰まりを「とどのつまり」と言うのは、ここから来ている。


たらふく食う
 
いうまでもなく、腹いっぱい食うことで、漢字で書くと「鱈腹食う」となる。これでお分かりかと思うが、元々はタラの腹のように膨らんで、満腹になったという意味なのである。
タラは、大変貧欲な魚で、その胃の中からは、ありとあらゆる魚、鋭いトゲを持つカニまでもが出て来るというからその貧欲たるや凄まじい。

な行

なまこにわら
 ナマコをワラで縛ると、そこから切れたり縮小したりする。
 そこから、相手がたちまち弱り閉口することの例え。


なまこの化けたよう
 
みにくいものの例え。
猫にサザエ
 手がでない。どうしようもないこと。

は行

畑に蛤
 
畑を掘って蛤を探そうとしても無いように、見当違いなことをいう。
 その他に、できもしないようなことを望むことの例え。「山にハマグリを求む」も同じ意味。

ふぐ食った猫の腰
 ふぐの毒にあたった猫の腰のようにふらふらしている様子。
 「腰抜けである」というシャレ。 
フグは食いたし命は惜しい
 
利益を得るためには危険が伴うということ。

ま行

水積もって魚集まる
 水が沢山ある場所には、自然に魚が集まってくるように、金儲けのできそうなところには、自然に人が集まってくる。


や行

焼き魚は強火の遠火
 魚を上手に焼くコツ。魚を上手に焼くには強火で短時間で焼き上げると水分やうまみが逃げない。また、火が近いと皮ばかりが焦げてしまうので、遠火で焼くとよいというありがたいアドバイスなのです。